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農業共済新聞

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良質米を広くアピール

オーナー制・イベントも展開

(平成30年4月3週号 トップ)


 「荒れ地が増えていっているのを残念に思っていた。地元で育ってきたため、自分の知っているきれいな風景を残していきたい」と話すのは、備前市の「いちけんファーム株式会社」の石原伊知郎代表。地元の耕作放棄地を借り受けるとともに、米の販売方法を工夫、オーナー制度やイベントにも取り組み、手間をかけて生産した良質米をアピールしている。
 いちけんファームは、建設業の株式会社伊知建興業が2013年ごろ農地の管理を請け負ったことをきっかけに、管理農地が徐々に増えてきたことを受け、15年に設立した。建設業のため農機具の扱いや圃場整備は問題なく行えたが、農業に関しては初心者。地域の人の助けを借り、現在では管理する耕作地が70筆(合計7㌶)まで増えた。
 栽培を始めると、モグラやザリガニが畦に穴を開けるなど、田んぼの管理がいかに大事か痛感させられることとなった。石原代表は「手間をかけたらそれだけ質の良いものができる。適当だとそれくらいのものしかできない」と話す。
 以前は弁当店などに米を販売していたが、最近は販売形態を小売りに変えた。紙袋入りのほか真空パックも販売している。真空パックはコンパクトなサイズで販売できるため寄贈用に向く。社名やロゴをデザインし、オリジナルのものを作ることにも対応。中には、生まれた赤ちゃんの体重と同じ分量にした「赤ちゃん米」が出産祝いのお返しとして喜ばれている。
 石原代表は「目標としておにぎり屋を出店したい」という。昨年8月、おにぎり屋クラウドファンディングの目標を達成し、開店に向け準備を進めている。また、小さな圃場を多数管理していることを生かし、水稲栽培のオーナーを募集中だ。契約すると農業体験などのレクリエーションなどに使えるほか、オリジナルデザインで米をパッケージすることができる。
 地元でのイベント開催にも積極的で、田植え・稲刈りの体験イベント、年末には餅つき大会を開いた。
 地元でのイベントが多い中、他県の人にもいちけんファームの米をアピールするため、石原代表自ら東京に出向き、ツーリズムエキスポというイベントに出展した。石原代表は「地域性が異なるため、東京の人に農業に関心を持ってもらいにくい。イベントを通じて農作業を少しでも理解してもらえれば」と話している。