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もち麦を柱に6次化推進

農薬控えても1等品質

(令和4年4月3週号)


写真1
「農福連携に努めながら、食べてくれる方の健康を支えていきたい」と礒山さん

 美作市の「美作百姓もん」は、「体に良いものを生産し、食べた人に健康に楽しく生活してもらいたい」という思いから、化学肥料や除草剤を使わず、農薬使用を控えた栽培・加工に注力する。
 もち麦を主に、同市の特産品を中心に栽培。六次産業化法に基づく「総合化事業計画の認定」を受けるとともに、地域の就労継続支援B型事業所「ワークサポート」に生産を委託するなど、農福連携と一体で6次化に取り組む。

耕作放棄地を活用

 栽培は地域の耕作放棄地を活用。土作りから収穫まですべて手作業で、もち麦には赤カビ予防剤を1度だけ使用するなど、農薬の使用は最低限にとどめる。
 代表の礒山和博(いそやまかずひろ)さん(56)は「農薬を使用しない栽培に力を入れていても、近隣農家の圃場に病気が転移するなどあってはいけない。生育状況で使用しない年もある。2021年度は予防剤を使っていないが、1等品質だった」と話す。 農薬を使わない分、栽培管理の徹底で防除する。管理の手間は増え、収量は一般的な6割程度と少なくなるが、生産から加工まで自社で一貫生産することで利益を得るという。
 もち麦は自社で採種・栽培・精麦し、保存料を使わず加工する。精麦割合は一般的に2割が多いが、同社は3割。もち麦に含まれる水溶性食物繊維のβ ― グルカンは、外皮を削った内部に多く含む。2割精麦はグラム当たりのβ ― グルカンが少なく、4割精麦はもち麦の食感が失われる。食味とβ ― グルカン量の両立に最も適した割合が3割だという。
 購入者はリピーターがほとんど。礒山さんは「自社一貫生産とはいえ、大量生産品ではないため、決して安くない金額になる。それでも体に良いものを求めて買ってくれる人がいることは、経営の自信につながる」と話している。

写真2
もち麦のほか黒大豆やエゴマなど、多種類の加工品を販売

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